「名探偵ピカチュウ」の主人公はティム。
黒人の青年です。
ずっと疎遠だった父親が事故に合ったと聞き、ポケモンと人間が共存する街、ライムシティにやって来るのが物語のはじまり。
ところが、ここで不思議なのが、ティムの父親が白人であるということ。
白人の父親に黒人の子供?と疑問に思った人が多かったようです。
しかも、原作のゲームではティムは「白人」なんです。
いったいどうして白人から黒人に変わってしまったのか?
父親は白人のままなの?
気になったので調べてみました!
「名探偵ピカチュウ」父親は白人なのに、子供は黒人?
父親役は白人のライアン・レイノルズ
「名探偵ピカチュウ」観た。ティムのもとに警察から電話がかかってくる。父・ハリーが転落事故で亡くなっというのだ。父との間に確執のあるティムは複雑な思いを抱えながら、ライムシティを訪れる。父の家に辿り着いた彼を待っていたのは人間の言葉を話す名探偵ピカチュウだった! #DetectivePikachu pic.twitter.com/vMQwZIUAZa
— うろんなK (@srkm02) May 3, 2019
映画のラスト、ずっと行方不明だったティムの父親ハリーがついに登場します。
その元気な様子に、「ティム良かったね!」「会えて良かった!」と観客が感動する中、現れたのは白人のライアン・レイノルズ。
「??!」
そう、ティム役を演じたのは黒人の俳優ジャスティス・スミスさんだったため、観客はずっと「ティムの父親も黒人に違いない」と思っていたんですね。
ところがあらわれた父親は白人の俳優さん。
「黒人の父親が白人??」「なんで?」と違和感があったようです。
原作の設定は主人公も白人
もちろん、ライアンさんやジャスティスさんが悪いというわけではありません。
しかも、この映画の原作といえるゲーム版「名探偵ピカチュウ」(2016)では、主人公ティムはもともと「白人」の設定だったんです。
普段ホワイトウォッシュを咎めている人達の中に、「『名探偵ピカチュウ』のティムをなぜ黒人にしたんだ? これは原作通り白人にするべきだ」と訴えている人がどれだけいるのかを知りたい。 pic.twitter.com/DdMYbtsAs2
— じぇれ@映画垢 (@kasa919JI) April 19, 2019
原作ゲームからのファンにしてみれば、「どうしてティムが黒人になってるの?」と疑問や不満があったようです。
こちらも、「黒人」であることが不満なのではなく、原作設定が無理やり変えられていることに違和感を感じているようです。
ファンの中には、「主人公が白人である理由はないが、黒人である理由もない。原作からわざわざ変える必要がない」とする人も。
調べてみると、ティム役のジャスティス・スミスさんは、実はアフリカ系アメリカ人(黒人)とフランス系カナダ人(白人)のハーフのため、「父親が白人」という設定でも矛盾はないのですが・・・。
この辺は、昨今の「業界全体の人種差別」や慢性的な「有色人種の人気俳優の不足」に悩むハリウッド事情とも深い関係がありそうですね。
「名探偵ピカチュウ」は「ブラックウォッシング」?
名探偵ピカチュウ、言語版で見てくれ。ピカチュウの声がライアンレイノルズだぞ。 pic.twitter.com/0aeCvfJ5k2
— ぽえちゃん (@poeta_dod) May 15, 2020
「名探偵ピカチュウ」のキャストをよく見てみると、さまざまな人種の俳優さんがいることが分かります。
・ティム役:ジャスティス・スミス→アフリカ系アメリカ人(黒人)とフランス系カナダ人(白人)のハーフ
・ハリー役:ライアン・レイノルズ→カナダ系白人
・ルーシー役:キャスリン・ニュートン→アメリカ出身白人(金髪碧眼)
・ヨシダ警部補:渡辺謙→日本人
・ジャック役:カラン・ソーニ→インド出身
など。
そのためか、近年の映画作品では「黒人役を黒人俳優が演じる」ことが多くなってきましたが、そのほかの少数民族や、アジア系の役柄は白人俳優が演じることが大多数のようです。
「名探偵ピカチュウ」で、原作ゲームとは違うさまざまな人種の俳優さんがキャスティングされているのは、「ホワイトウォッシング」という慣習から抜け出そうとしているからかもしれません。
とくに、ティム「黒人と白人のハーフ俳優」の相手役、ヒロイン・ルーシーに「金髪碧眼の白人女優」を配役したのはかなりの冒険だったようです。
また原作ゲームには登場しないハリーの同僚役・ヨシダ警部補を新しく設定し、アジア人である渡辺謙さんを起用したのはスタッフの「ポケモンリスペクト」と同時に、「人種差別の撤廃」「多様性の尊重」も表しているのではないかと思います。
その一方で、原作ゲームファンからは、不必要な「反ホワイトウォッシング」はやりすぎ、との声も。
この流れは「白人の役を黒人俳優が演じる」=「ブラックウォッシング」と呼ばれています。
過去の作品をリメイクするときに、白人俳優の演じた役を黒人俳優に変えて制作することが増えており、オリジナル作品のファンからは支持を得ることができていません。
とくに批判されたのは、2014年の「ANNIE/アニー」や2010年の「ベスト・キッド」で、主人公が白人やアジア人から黒人俳優に変更になったこと。
あまりにも不自然であり、物語の基礎的な部分が変わってしまうと非難を浴びました。
今回のティムの交代も、不自然といえば不自然ですが、物語の流れには大きくかかわって来ません。
ティム役の俳優さんも実際に白人と黒人のハーフで、父親役が白人であることと一致しています。
まとめ
「名探偵ピカチュウ」の主人公ティムは黒人だが、父親役は白人のライアン・レイノルズだったので、観客は違和感を覚えた。
原作のゲーム版「名探偵ピカチュウ」ではティムは白人の少年だったため、なぜ黒人に変えた?と疑問の声が上がった。
ティム役のジャスティス・スミスは、アフリカ系アメリカ人(黒人)とフランス系カナダ人(白人)のハーフ。
「名探偵ピカチュウ」は多種多様な人種の俳優が起用されている。
原作ゲームには登場しないハリーの同僚役・ヨシダ警部補を新しく設定し、アジア人である渡辺謙を起用しているので、スタッフの「ポケモンリスペクト」と同時に、「人種差別の撤廃」「多様性の尊重」も表しているのではないか。
原作ファンにとっては少し違和感のある配役かもしれませんが、物語を楽しむには問題なし!として「名探偵ピカチュウ」を見てみてはいかがでしょうか?
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