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魔女の宅急便のウルスラの描く絵のモデルは実在する?意味や意図についても

映画

1989年の公開以来、何度も地上波で放映されているジブリの名作、「魔女の宅急便」。

思春期の少女が挫折を乗り越えながら成長し、大人になってゆく物語としても楽しめますよね。

キキに影響を与えた魔女の宅急便の登場人物の一人、絵描きの少女ウルスラ。

作中でウルスラはキキをモデルに絵を完成させますが、実はこの絵には実在するモデルがあったんです。

今回はウルスラの絵のモデルについて調べてみました。

ウルスラの絵のモデルについて

ウルスラの絵のモデルは、青森県に実在しています。

タイトルは「虹の上をとぶ船 総集編IIより 星空をペガサスと牛が飛んでいく」

八戸市立湊中学校の養護学級の生徒さんたち13名が制作した版画のひとつで、空を飛ぶペガサスと牛(!)、大きな三日月と鳥や家、仲の良さそうな人々が表現されています。

映画での絵とは違って版画作品なので、白と黒の画面ではありますが、十分迫力がありますね。

画面からはみ出しそうに飛ぶペガサスたちと大きな月の夢の中のような風景に、ちゃんと人の暮らす家も描かれ、細かな星がしっかりと掘り込まれています。

現実と幻想が静かに混ざり合う、不思議な雰囲気の作品ですね。

ウルスラの絵の意味ついて

「魔女の宅急便」では、宮崎駿監督がこの作品を見てとても気に入り、制作指導にあたった坂本小九郎さんの了承を得て、絵描きであるウルスラの絵のモデルとして登場させたとのことです。

映画では背景担当の男鹿和雄さんによって加筆・アレンジされた油絵の姿で登場しています。
元の版画とはまた少し違う、神秘的な作品になっています。

シャガールのような美しい色彩と、現実にはない夢のような構図が、ウルスラの作風のようです。

また、映画ではキキらしき少女の姿が加えられています。

ペガサスの横で髪をなびかせながら空を飛んでいる少女を描いたのは、空を飛ぶ力がなくなって落ち込むキキをウルスラなりに励ましているという意味に取れます。

赤い三日月の浮かぶ、ちょっと怖い夜の景色なのに、どこか優しい表情をしているのが印象的ですね。

ウルスラの絵の意図ついて

ウルスラがキキをモデルにこの絵を完成させた時、キキは「きれい・・・」と感嘆の声を漏らしました。

元々、この絵(版画)の指導にあたった坂本小九郎先生は、このように語っています。

版画の共同制作でも、ひとりの人間が彫ったような作品に見えるようにするために、互いに学び合いながら制作するのですが、私はそのことに違和感を覚えたことがあります。
一人ひとりの個性をもつ子どもたちの表現が温かく受け入れられて、それでいて全体としてまとまった世界を表現できないだろうか。
稚拙な者を排除することなく、一人ひとりの個性、異なる力がひとつの画面のなかで合わさるような共同制作がありえないだろうかと考えました。
そのように各人がそれぞれのかたちで生きていくあり方が大事だと思うんです。
完成した大きい絵のどの部分を抜き取っても一枚の作品になっていることも大切な特徴です。

一人ひとりの持つ個性を大事にしつつ、かつ個性が混じった大きな世界を受け入れる。

魔女の宅急便でも、キキは初めて大きな世界(都会)に来て、魔女という存在の自分を受け入れてもらえないことに、少なからずショックを受けました。

それが自信の喪失や劣等感に繋がり、飛ぶことができなくなるという目に見える形で現れたと考えると、ウルスラの絵のモデルのこの版画には、魔女の宅急便にも通じる大きなメッセージを感じさせます。

さらに、この版画作品との出会いには、宮崎駿監督自身にも浅くない縁があったそうです。

宮崎駿監督の義父、大田耕士さんが日本教育版画協会の委員長を務めていたり、作品の指導にあたった坂本小九郎さんの著作「虹の上を飛ぶ船」の推薦文を書いていること、制作した八戸市立湊中学校養護学級の生徒さんたちを、大田さんが教えていたこともあったことも。

そんな出会いが、ウルスラの絵となってつながっていったんですね。

また、最初のスケジュールでは、この絵は宮崎監督がみずから描くつもりだったそうですが、絵コンテがなかなか終わらず、どんどん制作の時間がなくなっていって諦めた、というちょっとくすりとするエピソードもあります。

ウルスラも宮崎監督も、絵描きならではの悩みは同じなのかもしれませんね。

まとめ

ウルスラは魔女の宅急便に登場する絵描きの少女。

キキの信頼する相談相手であり、友情をはぐくむことになる重要なキャラ。

作中でウルスラがキキをモデルに描いた絵にはモデルがあり、青森県八戸市立湊中学校の養護学級の生徒13名が制作した版画のひとつ。

宮崎監督がこの作品をとても気に入り、許可をもらって作中に登場させた。

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