誕生から100年以上愛され続け、「世界で一番有名なうさぎ」でもある『ピーターラビット』。
そして2018年5月に公開された実写版『ピーターラビット』ですが、内容に一部不適切な表現が。
アレルギー患者にとって「許せない」シーンがあるんです。
いったいどこが悪いのか?
不快と言われてしまうのは何故?
そのほかSNSの評判もまとめました!
(作品のネタバレを含んで作成しています。ご注意ください)
【ピーターラビット】問題のアレルギーのシーンとは
今夜の金曜ロードショーはピーターラビットだったっけ?
可愛い見た目に騙されてはいけない
この映画はヤベーキャラしか出てこないし、殺意とダイナマイトが飛び交うヤベー映画だから…!(笑)
まぁ言ってしまえばトムとジェリーみたいなノリ
地味に脇役に豪華声優多数 pic.twitter.com/6XwqbWhpIV— デカいキウイ (@m1928a1c) June 18, 2021
ピーターたちとガチの殺り合いをするマクレガーさん。
ピーターは宿敵・マクレガーさんにベリーアレルギーがあることを知りつつ、ブラックベリーを口に放り込んで故意に「アナフィラキシーショック」を起こさせます。
この表現に「問題あり」と批判が殺到。
北米では公開直後に食物アレルギーがある子どもたちとその家族の支援団体「キッズ・ウィズ・フード・アレジーズ」が配給元のソニー・ピクチャーズに対して公開書簡を送付しました。
「この症状を軽く扱うと、一般の人がアレルギー反応を深刻なものと受け止めなくなる恐れがある」と指摘し、主人公(ピーター)たちがアレルギーショックについて「無頓着な態度」をとっていることも問題だとしています。
「アナフィラキシーショック」とは、複数の臓器に同時あるいは急激に出現するアレルギー反応。
生命に関わる場合もある、とても危険なものです。
じんましんや発熱だけではおさまらない症状も多く、わずかな摂取量でも呼吸困難になる場合もあります。
食物アレルギーを持っている人は万一に備え、症状を緩和する自己注射液「エピペン」を持ち歩くこともあります。
劇中でもマクレガーさんはエピペンを打ちますが、ショック症状を起こして倒れてしまいます。
アレルギー持ちの人にアレルギーの原因を食べさせるのは、「たかがアレルギー」では済まない、とても危険な行為なのです。
【ピーターラビット】映画はアレルギーを軽視している?
軽視しているという意見
実際に『ピーターラビット』を観た人からは「アレルギーを軽く扱わないで!」「真似する人がいるからやめてほしい」と批判が出ています。
「ピーターラビット」地上波でやるならアレルゲン食材を投げ付ける部分はカットしてほしい。
食物アレルギーをギャグにしないで。 https://t.co/0DjkPZATzp— DNR (@hBAHroX4b7Pt5Nz) May 26, 2021
ピーターラビットのアレルギー軽視表現に対する批判は、この映画がまだ分別のつかない子供も見る作品という点から正当性を持っています。ただ、ピーターラビットが宿敵をアレルギーを利用してでなく、暴力でボコボコに倒してたら、こんなに批判されることはなかったでしょう。
— め (@pro_mony) February 14, 2018
やはり当事者だけでなく一般の人からも「やりすぎ」「笑えない」と、否定的な意見があるようです。
日本でもアレルゲン(食物アレルギーの原因物質)が入った給食を誤って食べてしまい、亡くなった小学生もいます。
「アレルギー症状」と聞くとあまり深刻なイメージを持たれないかもしれませんが、当事者にとってはまさに生死につながっているのです。
そのため、地上波放送の時には「誤解を招くからカットしてほしい」という声も多く見られます。
仁義なきピーターラビット、映画馬鹿どもが予告を見た上で見に行ったからいいんであって、無防備なお子様にもお届けできる金ローでやったら……駄目だろ!!アレルギーのシーンはカットしてくれ金ロー!お互いのために!!
— かにたま (@ChowhanRock1869) May 25, 2021
金曜ロードショーで初めて『ピーターラビット』に触れる人が、せっかく収まっている「アレルギー問題」を再炎上させてしまうかもしれない…という不安もあるようです。
批判を受け、配給元のソニー・ピクチャーズと本作の制作会社はすぐに「食物アレルギーは深刻な問題だ。たとえ漫画的でドタバタな喜劇風の表現だったとしても、マクレガーのブラックベリー・アレルギーを軽く扱うべきではなかった」と謝罪しています。
金ローでもこの謝罪を受け、問題のシーンはカットされてしまうかもしれません。
そこまで軽視していないという意見
ピーターラビットでアレルギー軽視のシーンがあると噂になってたけど、私はそうは感じなかったな。むしろ真撃に向き合っていたような?アレルギー持ちの人にやったら死んでしまうから、こうやって殺人の材料になるからダメだってわかるようになってて、ピーターたちはその上で殺そうとしてた。→
— まかのん (@fb_makanon) May 21, 2018
一方で、「そこまで問題ではないと思う」「そんなに怒るような描写じゃなかった」という意見もあるようです。
実写映画ピーターラビットの食物アレルギーの描写はアレルギーを好き嫌いとか慣れとかではなく「最悪の場合は死に至るもの」として描いているし(ピーターも殺そうとしてアレルゲンを食わせてる)むしろアレルギーをふんわりとしか認識してないのよりよほど誠実な描き方だと思うよ。
— ケント-SUN (@kentosan27) May 25, 2021
劇中では「アレルギーの人にこうすると危険」という意味で、
「アナフィラキシーショック」を描いているため、アレルギーが軽視されているとは思わなかった」
「真似しようと思わない」
「”食物アレルギー=適切な処置をしないと死ぬ”という構図でアレルギーの危険性は十分伝わる」
と好意的にとらえている人も多いようです。
作中でアレルギー症状をバカにしたり軽んじているわけではなく、むしろ「アナフィラキシーショックはヤバい」ことをしっかり示し、「アレルゲンに晒された時の対処法までちゃんと見せている」と誠実で教育的な演出をしていると感じた人も。
『ピーターラビット』のアレルギー問題、散々人命軽視描写の上「明確な殺意」として利用しようとするし「注射が無かったら死んでた」って描写もある(身体に発疹できる、とかどっかが腫れる、みたいな安易な表現じゃない)のと劇中数ある殺人未遂ギャグのお陰で実は危険度がちゃんと出てたな、て思った
— 鉄面あなざ (@Gadjetmovie) June 17, 2018
ドタバタコメディで終わらせず、アレルギーの危険性をきちんと表現し、対処法まで描いている点が評価されているのかもしれませんね。
カットしないでほしいという意見
#ピーターラビット
アレルギーのシーンもしっかり流して欲しい
エピペン刺したら簡単に復帰するのはリアルじゃない
大事なのはアナフィラキシーショックになったら躊躇してはいけないということ
アレルギーは好き嫌いじゃない
可能ならACと連携して周知して欲しい— 断線中 (@aeo5kSRRUgEmKXh) May 25, 2021
もっと積極的に「アレルギー症状の危険性」を周知させるため、このシーンはカットしないで欲しいという意見もあるようです。
実写ピーターラビット、アレルギー狙い撃ちのえげつなさのせいで、確かにアナフィラキシーのヤバさと、エピペンはこれぐらい!急いで!勢いよく打て!一切のためらいを捨てろ!という教材にはなるんだよな……
— はるさめシャーク (@harusasameme) May 25, 2021
ピーターラビットにエピペン出てくるのか。日本だとあまり知られてないけど、食物アレルギー持ちには必須アイテムだからこれを機会に広まると良いね。https://t.co/aPKDrtu8mI pic.twitter.com/dfQmIdmTa3
— 植野 (@iikagennisir0) May 27, 2018
一般にはあまり知られていない「エピペン」の存在と、その打ち方までしっかり描写されている『ピーターラビット』。
このシーンを観ることで、もしアレルギー症状を起こしている人がそばにいたら手助けになるかもしれません。
劇中でマクレガーさんはエピペンを打ちますが、すぐには回復しないところもリアルで良いという意見もあります。
また食物アレルギーをただの好き嫌いと思っている人も多い世の中、このシーンでその重要性を理解してもらえると、マクレガーさんの苦労も報われそうです。
アレルギー当事者の否定的な意見
ピーターラビット。食物アレルギーに気を遣いながら生活をしている人間からしたらエピペンを打つシーンというのがかなり生々しくて…混乱してしまいました。気持ちも冷めてしまいました。ラビットたちは可愛いしドーナルくんも好きなのにごめんなさい。
— iko (@kiesa__) May 21, 2018
しかし実際に食物アレルギーを持つ人からは、反対意見も出ています。
フィクションとはいえ、実際に食物アレルギーを持つ人や関わっている人からは「アナフィラキシーショックを利用して対象を排除する」という描写が受け入れられなかったよう。
リアルとリンクしすぎて「見ていて辛い」「面白くない」と感じてしまうようです。
その気持ちも分かります。
自分や近しい人間の症状を軽く扱われているような気がしてしまいますよね。
「本当はもっとツライ」「コメディ風に扱わないでくれ」と思う人も。
制作者の意図するところではない部分だと思いますが、難しいですね。
アレルギー当事者の好意的な意見
俺もアレルギー持ちだけど、話聞く限り命を奪う毒物になると分かって他人に喰らわせてるので、ピーター自身はより悪質だがアレルギーへの配慮はされてると思うぞ。
映画『ピーターラビット』、食物アレルギーへの配慮不足で謝罪 https://t.co/qS1zjBsa5y
— みかげ (@mikage_robeppu) May 21, 2018
一方で、食物アレルギー当事者であっても、肯定的・好意的な意見を持っている人もいるようです。
おれ甲殻類アレルギーなんだけど、実写ピーターラビットは「アレルギー持ちの人がアレルゲン食品を摂取することがどれほど危険か」ということを劇中でやってくれてるからすき
— 渡久山 孝洋@糸色叫上映前説家 (@ninifuta) May 25, 2021
「 #ピーターラビット 」のアレルギー描写について。アレルギー当事者から言わせてもらえば、食物アレルギーをただの食わず嫌いと混同する愚かな人たちに「食物アレルギーは死ぬ」という事実、アレルギーの人にアレルゲンを与えるのは「殺人」だと知らしめてくれたピーターたちに少なからず感謝したい
— 桂 (@1111425) May 23, 2018
実際に視聴すると「アレルギー持ちがアレルゲンを摂取する行為はとても危険」ということがよく分かる描写になっています。
そこをぼかさずしっかり描いてあることが高評価になっているよう。
ピーターラビットのアレルギー攻撃描写はあれ本編見たら知ってるはずなんだけど
「実際にやるんじゃねぇぞ」って視聴者に釘指すからな
まぁ本編見たら知ってるはずなんだけどな— スペース★蝦蟇鯨 (@spacePearlEater) May 25, 2021
また、劇中ではピーター自らが「真似しないでね」とちゃんと注意喚起をしています。
制作側も細かく気を使ってからの描写だったようで、そこも好意的に受け止められているようです。
制作者の意図は?
制作側はどんな意図でアレルギー攻撃のシーンを入れたのでしょうか?
うさぎVS人間の本気の戦いであることの表現
ピーターラビットはアレルギーの人にアレルゲンを食べさせる描写があったけど、あれは笑うシーンではなく「このうさ畜生は『わかって』やってる…殺す気なんだ…」とこの戦争は遊びではないと気付く流れだと思いました。それ踏まえてマグレガー青年はあまりに善良じゃない?私なら初手ダイナマイトだよ
— 唯一神 カニピチス (@yamatanokani) May 25, 2018
マクレガーさんへは「アナフィラキシーショック攻撃」だけでなく、ドアに電流を流したり、畑を爆破したりなど
「ガチの殺し合い」をしているというのが前提の『ピーターラビット』。
うさぎは決して弱者ではなく、むしろマクレガーさんを追い詰めていくので、戦いはどんどんエスカレートしていきます。
「アレルギー攻撃」はそのしたたかさの象徴としての描写であり、ふたりが「本気」で戦っていると視聴者に分かりやすく伝えるためのものでもあるようです。
人間が害獣を駆除することへの遠回しな皮肉
ピーターラビット観た!初めピーターのアレルギー攻撃に引いたけど、人間が動物の駆除にしていることをそのままやり返したという表現なのだと知って納得。アレルギーは好き嫌いじゃなくて命に関わるってことと、エピペンの存在を知らしめる効果もあるんじゃないのかな。あと声優が豪華すぎた。
— 羊毛 (@zaccoy2) November 4, 2018
本作の深読みとして、ピーターたちがマクレガーさんに行っている度の過ぎたいたずらは、すべて「人間がふだん動物に行っているもの」という解釈があります。
私たち人間が害虫や害獣を駆除するときは、ためらいや良心の呵責はありませんよね。
アレルギー攻撃も、ゴ〇〇リ退治に使うホウ酸団子や毒餌に近いと考えれば、ピーターがマクレガーさんにしたようなことを普段私たちも虫や動物にしているのです。
そしてピーターがビアトリクス(ビア/人間)だけは好き♡という設定も、人間がペットの動物だけは都合よく可愛がることへの皮肉になっています。
イギリス流のブラックジョークが根底に流れていると考えると、ちょっと怖い『ピーターラビット』に…。
さまざまな意見がありますが、「面白い」「見てほしい」という声が多いようです。
ただし、食物アレルギーを持っている人や関わっている人は、一度検索してみてからの方が良いという人も。
それ以上に「人生で大切なことを教えてくれる良映画」として、激推しされている作品でもあります。
アレルギーの勉強にもなる『ピーターラビット』、ぜひご家族で視聴してみてくださいね!
まとめ
実写版「ピーターラビット」は、一部不適切な表現があり、アレルギーを持つ人から抗議が上がった。
問題のシーンは、ピーターが宿敵・マクレガーにベリーアレルギーがあることを知りつつ、ブラックベリーを口に放り込んで故意に「アナフィラキシーショック」を起こさせるというもの。
この表現に「問題あり」と批判が殺到した。
が、「アレルギーを軽く扱うな」という意見と同時に、「アレルギーの人にこうすると危険」という意味がきちんと伝わったという意見もある。
さまざまな意見があるが「面白い」「見てほしい」という声が多い。
ただし、食物アレルギーを持っている人や関わっている人は、一度検索してみてからの方が良い。
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