【風立ちぬ】カプローニが悪魔といわれる理由は?どんなキャラなのか解説

映画

2013年に公開された宮崎駿監督による『風立ちぬ』。

ジブリ初の全デジタルデータによる上映作品となり、120.2億円を記録して2013年の興行収入1位となりました。

物語冒頭から登場する謎のイタリアおじさん・カプローニ。

彼は実在する人物ですが、なぜか「悪魔」と言われています。

いったい何故「悪魔」と呼ばれるのか?

そのほかカプローニのネットの考察もまとめました。
(作品のネタバレを含んで作成しています。ご注意ください)

【風立ちぬ】カプローニはどんなキャラ?

イタリアの航空機製作者にして設計者

ジャンニ・カプローニ伯爵(ジョバンニ・バッチスタ・カプロニ:1886~1957)は実在の人物。

イタリアの航空機製作者にして設計者。

航空技術者・土木技術者・電気技術者でもあり、多彩な才能に恵まれていました。

イタリアの航空機製作会社・カプローニ社の創始者として、イタリアではじめて実用航空機を造ります。

宮崎監督の企画書によれば「挑発者であり、助言者であり、二郎の内面の代弁者」として、主人公・堀越二郎の夢に度々あらわれ、重要な役割を演じています。

カプローニ社は第一次世界大戦の爆撃機や輸送機の生産で躍進し、1930年代には自動車や船舶用のエンジンの生産など事業の多角化でイタリア有数の大企業に発展しました。

カプローニ社の作った飛行機にCa・309という軍用偵察機がありますが、これの愛称はGHIBLI「ギブリ(ジブリ)」。

スタジオジブリの名称もカプローニが制作した飛行機から来ており、宮崎監督はカプローニ伯爵と彼の作った飛行機の大ファンだったそうです。

「第二次世界大戦では全然役に立たない飛行機しか造らなかった会社ですが、僕はすごくカプローニの飛行機が好きで」
「ギブリは何でもない小さな木製の双発機で、サハラ砂漠で飛行機が落っこちた時ににそれを捜しまわる飛行機だったんです」
(『ジブリの教科書18 風立ちぬ』より)

この大戦中に役に立たない飛行機を作っていたというくだりは、『風立ちぬ』の中でも触れられています。

宮崎監督の中では、カプローニは
「ルネッサンスの人ですね。なんて面白い人だろうと感心するんです」
「レオナルド・ダ・ヴィンチもいろいろ考えましたが、作らなかったものと、作ってもダメだったものの方が多いんですから」
「ルネッサンス人だと分かったら、ぼくカプローニっていうおじさんがだんだん好きになったんです」

映画の中では巨匠然として二郎を導く存在でもあるカプローニですが、史実のカプローニはちょっと見栄っ張りで意地っ張りなところもある憎めない人物だったようです。

人間味のあふれるカプローニだからこそ、宮崎監督も惹かれたのかもしれませんね。

【風立ちぬ】カプローニが悪魔と言われる理由

カプローニはメフィストフェレスだから

ネットの考察などでは「カプローニは悪魔」と言われることが多いようです。

『風立ちぬ』はゲーテの戯曲『ファウスト』をモチーフにしており、堀越二郎がファウスト、カプローニがメフィストフェレス(悪魔)として描かれているという考察が多いようです。

メフィストフェレスとは、15、16世紀ドイツのファウスト伝説とそれを素材にしたゲーテの『ファウスト』に登場する悪魔。

主人公ファウストは、地上の快楽をすべて味わい尽くす代償として、自分の魂をメフィストに売り渡します。

メフィストは「悪への誘惑者」「試練を与える者」として悪を行いますが、絶対的な悪の体現者ではなく、ゲーテの定義によれば「つねに悪を欲して善を為す力の一部」。

カプローニの声をあてた野村萬斎さんは、当初、彼は「二郎に対して一種の啓示をしていくかなりセイントな感じの人物」だと思っていたそう。
しかし宮崎監督から「カプローニは二郎にとっての”メフィストフェレス”だ」という説明を受けたそうです。
(『ジブリの教科書18 風立ちぬ』より)

監督も「カプローニ=メフィストフェレス」「主人公(二郎)を誘惑し、魂を売り渡させる相手」というイメージを持って制作したようです。

物語冒頭、二郎の夢の中で、「飛行機は美しい夢だ。設計家は夢に形を与えるのだ」と迫るカプローニ。

二郎はそれに「はい!」と返事をします。

絵コンテではこのシーンに”カプローニの狂気を宿すドUP” ”メフィストフェレス”と注釈があります。

メフィストを「絶対的な悪の存在」ではなく、「悪へ誘惑するために善を行う存在」と解釈すれば、まさにカプローニそのものですね。

【風立ちぬ】ラストについて

『ファウスト』は、無限の探求心を持った学者ファウストが悪魔メフィストフェレスと魂を賭けた契約をし、欲望や快楽を知って罪に落ちるものの、純真な乙女グレートヒェンとの恋によって魂の救済を得るというラストになっています。

『風立ちぬ』のラストは、すべてを失ったかに見えた二郎ですが、亡き妻・菜穂子の「あなた、生きて」というセリフに救われるという描写があります。

「ありがとう」と返す二郎の魂は、ファウストと同じように救済されたと考えることもできます。

しかし一方で、亡き菜穂子に会う前、二郎は燃え尽きた零戦たちの残骸の中を進み、カプローニと会話します。

「ここは私たちが最初にお会いした草原ですね」
「我々の夢の王国だ」
「地獄かと思いました」
「ちょっと違うが同じようなものかな…」

菜穂子が風のように姿を消した後、「ありがとう」と言う二郎。

そして彼女が去った草原の向こうにカプローニと歩いていきます。

これは『ファウスト』とは違い、二郎は菜穂子ではなく悪魔(カプローニ)の手をとり、草原の丘(煉獄)に落ちるのを選んだという暗喩にもとれます。

魂は救われましたが、やはりそのまま安らかに死ぬというラストにはできなかったのかもしれません。

主人公の二郎は純粋に「美しい飛行機を作りたい」と願う青年でした。

しかし時代の変容によって、飛行機づくりは必然的に軍用機を開発することになります。

飛行機は「美しくも呪われた夢だ」とカプローニが言ったように、多くの人を殺す道具になってしまいました。

それでも夢を諦められず飛行機を作り続けた二郎は、自分のエゴで「悪魔に魂を売った」とも取れます。

その報いが菜穂子ではなくカプローニと共に進んでいくというラストなのかもしれません。

宮崎監督の当初の絵コンテでは、ラストの菜穂子のセリフは「あなた、来て」と二郎をあの世に誘うものでした。

自分の罪をつぐない、魂を救済するという意味はあるものの「あまりにつらい終わり方」と鈴木敏夫プロデューサーから相談を受け、「あなた、生きて」という180度逆の意味に変更したそう。

そしてカプローニのラストのセリフも、「(菜穂子の行ったところへ)わしらも行かねばならんが、ちょっと寄ってかないか」から「君は生きねばならん。その前に寄ってかないか?」に変えられています。

カプローニはここで、ふたりで罪をつぐない、草原の向こう(煉獄)に去ろうとするのではなく「飛行機づくりの師匠」として二郎を導く存在になっているとも考えられます。

菜穂子によって救われつつも、軍用機の製作者として生きていくという厳しい人生を選ばせた宮崎監督。

戦争という難しい題材を考え抜いたうえでの落としどころなのかもしれませんね。

また、カプローニは悪魔ではなく聖人ではないか?という意見も。

見る側によってどちらにも受け取れる存在のカプローニ。

『風に立ちぬ』を視聴する時にはカプローニにも注目してみてくださいね!

まとめ

映画「風立ちぬ」に登場するカプローニは、実在の人物。

ジャンニ・カプローニ伯爵は、イタリアの航空機製作者にして設計者。

スタジオジブリの名称もカプローニが制作した飛行機から来ている。

「風立ちぬ」では、カプローニが悪魔と言われているが、その理由は「風立ちぬ」がゲーテの戯曲『ファウスト』をモチーフにしていて、堀越二郎がファウスト、カプローニがメフィストフェレス(悪魔)として描かれているという考察が多いから。

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