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【風立ちぬ】はつまらないし面白くない?面白いという意見も

映画

2013年に公開された宮崎駿監督による『風立ちぬ』。

ジブリ初の全デジタルデータによる上映作品となり、120.2億円を記録して2013年の興行収入1位となりました。

ところが公開後、「つまらない」「面白くない」という声が多く上がっています。

いったいどこがつまらないのか?
面白くないのはどこ?

そのほか「面白いよ!」というネットの意見もまとめました。
(作品のネタバレを含んで作成しています。ご注意ください)

【風立ちぬ】ここがつまらない

話がつまらない

『風立ちぬ』は「話がつまらない」「内容が難しい」と言われています。

今までのジブリ作品とは違い、ファンタジー色がほとんどない今作。

実在した人物が出てきたり、関東大震災や戦争という史実もストーリーに深く関わってきます。

そのため、ある程度歴史の知識がないと楽しめないと言われています。

また、青少年ではない大人の恋愛も描かれています。

当時の恋愛事情は現代とは大きく違っており、共感しにくい描写になっています。

主人公・堀越二郎のヒロイン・菜穂子に対する行動も「思いやりがない」「自己中心的」と言われがちで、映画として楽しめないという人も。

戦争や恋愛を要素として取り入れている作品ですが、観た人からは「戦争映画でも恋愛映画でもない」と評価されることが多いようです。

「つまらない」「面白くない」と感じるのは、盛り上がりの少ないストーリーや戦争などリアルを取り入れたファンタジー性の薄さ、ヒロインが劇中で死亡するという悲劇的なラストが「ジブリらしくない」からかもしれません。

派手な戦闘や空中戦がない

ジブリ映画といえば、ハラハラ・ドキドキする戦闘シーンや空中戦が見どころですよね。

『ラピュタ』の飛行船や『トトロ』の空中散歩、『魔女の宅急便』でも『紅の豚』でもリアルで素晴らしい飛行シーンが話題になっており、「飛行シーンがいちばん好き!」という人も多いのではないでしょうか?

今作も「零戦の設計者・堀越二郎」を扱う作品なら、宮崎監督が得意とする空中戦や戦闘シーンが見られる!と期待した人も多かったようです。

しかし残念ながら、ファンが楽しみにしていた空中戦はほとんど描かれませんでした。

宮崎監督が飛行機の戦闘シーンをほとんど登場させなかったのは「ゼロ戦やその作り手を単純に讃美せず、少年が夢に向かっていく素直な表現をしたかった」からと言われています。
(『風立ちぬ ジブリの教科書18』より)

太平洋戦争という実際の戦争を取り上げる以上、戦闘機の空中戦の相手は実在の国々になります。

かっこいい戦闘機がかっこいい空中戦を繰り広げる…。

そう描くこともできますが、それは戦争を美化したり、逆に糾弾するということにもなってしまいます。

監督はそういった意図でこの映画を作るわけではないと語っています。

派手な戦闘シーンがないのは監督のポリシーがあったからのようですが、飛行シーンのファンとしては少し残念ですね。

子供が見てもつまらない

内容が難しいため、「子どもが見てもつまらない」と言われています。

たしかに今作は戦争や戦闘機、大人の恋愛など子供向けではない要素が多く、ジブリらしくないと言われています。

もともと『風立ちぬ』は、『崖の上のポニョ』制作終了後の2008年ごろから『月刊モデルグラフィックス』で宮崎監督が連載していた同名の漫画が原作です。

実在した、堀越二郎と堀辰雄の半生を融合して生まれたフィクションで、対象年齢はもちろん大人。

監督自身も「自分の趣味の作品として」描いていたため、映画化するつもりはまったく無かったようです。

鈴木プロデューサーに『風立ちぬ』の映画化を持ちかけられた時も、

「この漫画は自分の趣味の範囲で描いている。映画化なんてとんでもない」
「アニメーション映画は子どものために作るべきで、大人ものを作ってはいけない」

と激しく反発したそう。

しかし鈴木プロデューサーの熱心なすすめに監督も折れ、企画が動き出したそうです。

もともとの原作が子供向けではないため内容が難しく、子どもには「つまらない」「面白くない」ものになってしまったのも、しかたないのかもしれません。

監督の矛盾が出ていてつまらない

『ナウシカ』や『もののけ姫』などからも感じ取れる、宮崎監督のあるポリシー。

「戦闘機が大好きで、戦争にとても詳しいが戦争は大嫌い。無意識に描く落書きは戦闘機。でも平和への願いは誰よりも激しく、反戦デモに参加したこともある」
「”人間への絶望と信頼”という一見矛盾したものを抱えた人間である」

とはよく挙げられる監督評です。

「戦闘機は好きだが戦争は嫌い」「戦争ものは好きだが戦争は嫌い」という、視聴者から見れば矛盾していると感じるのが監督の作品です。

その矛盾した感性が、素晴らしい空中戦や戦闘シーンを生み出しているとも考えられるのですが、それが「つまらない」「面白くない」「共感できない」となる人もいるようです。

しかし宮崎監督と同世代の「飛行機少年」だった柳田邦男さんによれば、この矛盾はごく自然なことだったようです。

「私たち戦争中に育った少年にとって、飛行機とはなんとも複雑な存在なのです」

戦争の記憶があり、空襲も経験していて、夜空を焦がす焼夷弾やグラマンの機銃掃射には震えあがったという柳田さん。

一方で「飛行機の絵を描くのが大好き」で、アメリカやイギリス、ドイツの爆撃機や戦闘機の絵を描いて級友にあげたりもしていたそう。

その時にB29やグラマンへの敵意はなく、空襲体験も分離した感情だったそうです。
(『風立ちぬ ジブリの教科書18』より)

戦争を体験していない視聴者からは「矛盾している」と受け取れる奇妙な感情ですが、宮崎監督世代には「戦闘機が好き」ということと「戦争は嫌い」ということは並び立つのかもしれません。

【風立ちぬ】ここが面白くない

抽象表現が多い・シーンの移り変わりが多くて難しい

物語冒頭から二郎と謎の男カプローニの夢が混ざるという、抽象的な展開を見せる今作。

妻・菜穂子との心情の変化も直接的な言葉ではなく、パラソルや紙飛行機のやりとりで表されています。

それがおだやかで安心して見られるという反面、「分かりにくい」「面白くない」という声にもなっているようです。

また、物語の場面もめぐるましく変わります。

二郎の実家、関東大震災の東京、二郎の通う大学(東京帝国大学)、名古屋の会社(三菱)、ドイツへの留学、軽井沢、黒川宅など。

これにカプローニとの夢の中の情景も挟まれるため、現実なのか夢の中なのか「分かりにくい」と言われてしまうようです。

魔法がない・内容が普通過ぎて面白くない

ジブリ作品には珍しい、実在の人間をモデルにした今作。

物語の舞台も現実の日本です。

そのため「魔法」やトトロのようなファンタジーな生き物は登場しません。

ジブリ作品のファンにはそれが物足りないようです。

同じ飛行機を扱う『紅の豚』も「魔法で豚にされてしまった」という設定ですよね。

また『ハウル』や『崖の上のポニョ』も「魔法」「ファンタジー」が重要な要素になっています。

魔法のない世界観といえば『コクリコ坂から』が挙げられますが、やはりファンタジー色が薄いせいか「ジブリらしくない」「面白くない」と賛否が分かれる作品です。

ジブリ得意のファンタジー力が使えない作品は、その分ストーリーに関心が集まりがち。

そのため盛り上がりのない「普通すぎる」脚本は「つまらない」「面白くない」と言われてしまうのかもしれません。

声優の棒読みが気になる

今作の発表時、世間をあっと言わせたのは、主人公・二郎を庵野秀明さんが演じるというニュースでした。

庵野秀明さんは、いわずとしれた大ヒット作『エヴァンゲリオン』シリーズの監督。

宮崎監督と浅からぬ縁があるとはいえ、まさかアニメ声優として作品に参加するとは…と誰もがびっくりしましたねw

しかし、その評判はさんざんなものが多いようです。

本職の声優ではなく、まして俳優でもない、本当の素人が長編アニメ映画の声を当てるという大惨事。

庵野さんには気の毒ですが、評価はおおむね「悪い」もののよう。

しかし、これは庵野さんを抜擢した宮崎監督に責任がありますよね。

一方で「二郎には庵野さんしかいない」「絶妙なキャスティング」と高評価をつける人もいるようです。

「二郎のサイコパスっぷりに合っている」という人も。

堀越二郎も庵野監督も、ある意味「孤高の天才」と言える人物。

宮崎監督が近い者同士と感じてキャスティングしたのなら納得です。

【風立ちぬ】面白いという意見

もちろん「面白い!」「感動した!」という感想も多い今作。

ネットの評判をまとめてみました。

戦争ものとして面白い

決して戦争賛美の映画ではありませんが、戦闘機好きな宮崎監督のこだわりが詰め込まれた『風立ちぬ』。

しかももともとは「自身の趣味」として好きなものを好きなだけ描いていた漫画が原作です。

面白くないわけがありませんよね!

二郎と菜穂子の純愛が良い

結核に侵され、最後は二郎の元を離れていく菜穂子。

ふたりの出会いから別れまでを描いた作品ともとれ、現代ではありえないほどの純愛物語でもあります。

直接的ではない言葉のやりとりや詩情にあふれた描写からは、奥ゆかしい当時の恋愛事情が垣間見えます。

スパイ・ゾルゲも登場

実在したソ連のスパイ・ゾルゲをモデルとしたと考えられる人物も登場し、物語に緊張感を与えています。

クレソンをばくばく食べたり、タバコを常に喫っていたり、ピアノの腕を披露したりと少し奇妙な演出をされているハンス・カストルプ。

二郎は彼と軽井沢で出会います。

「日本とドイツはハレツする」と、不吉な予言をするカストルプに背筋が寒くなる二郎。

そして彼と会ったことで特高に追われることになります。

さりげなく現実の事件とリンクさせることで物語のリアリティを出しているところがすごいですね。

まとめ

映画「風立ちぬ」は、「つまらない」「面白くない」という声が多く上がっている。

つまらない理由は、話がつまらない・派手な戦闘や空中戦がない・子供が見てもつまらない・監督の矛盾が出ていてつまらないというもの。

面白くない理由は、抽象表現が多い・シーンの移り変わりが多くて難しい・魔法がない・内容が普通過ぎて面白くない・声優の棒読みが気になるというもの。

もちろん、面白いという意見も多く、戦争ものとして面白い・二郎と菜穂子の純愛が良い・実在の人物が出てくるので緊張感があるという声がある。

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